近未来の絶対欲しくなるアイテムあるいは流行りもの

近未来の魅惑的なアイテムや流行りものを紹介します。近未来に長く存在できるかどうかはあやふやです。

罷免ライダーH

彼は孤独である。

周囲にはたくさんの人がいる。それでも孤独なのだ。

しかし、決して孤独が好きなわけではない。孤独はむしろ罰と受け止めている。

彼が孤独なのには理由があるのだ。

彼には罷免権というものがある。時にその力を行使しなければいけない。

顔色を変えず、それを淡々とやってのける日々。

そのつらさは同僚でありツーリング仲間でもある「K」だけが理解していた。

週末になれば、いつも一緒にツーリングを楽しんでいた。


ある日、いつものツーリングコースの途中にある喫茶店「友情」で休憩をし、「K」と会話する。


K:この天気、今日のツーリングは最高によかったな。

彼:ああ、久々にすっきりした。

K:そう言えば最近、職場の空気がまた少し変わったな。

彼:色々とあるんだろうよ。

K:頼むから俺だけは罷免しないでくれよ。

彼:それは無理な相談だよ。

K:えっ?

彼:いや、冗談に決まっているだろう。

K:ハハハ、そりゃそうだよな。


その日は、そのような会話をして、残りのコースを走る。


その翌週の金曜日になり、「K」が彼に呼び出される。

彼:やめてー。

K:えっ?

彼:だーかーらー、やめてー。

K:何を?

彼:明日から来なくていいってこと。それじゃーね。

K:・・・。


その後、「K」はすぐにそこを去ることになる。

また、彼はその日を境に毎晩のように愛車である「黒のニンジャ1000」を乗りまわすようになる。

それを見た同僚たちからはいつしか「罷免ライダー」と呼ばれるようになった。

罷免ライダーは仮面ライダーのように仮面をしているわけではないが、心には常に仮面をしている。

あのツーリング後に、彼に一体何があったのだろうか?